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メンバーがオンボーディングしないのは、すべてマネージャーの責任

LANYのSEOコンサルティングチームのマネージャーを務めている五十嵐です。
LANYが成長し、新しい仲間がどんどん増える中で、「人と組織」について考える機会が増えました。特にマネージャーという立場になってからは、メンバー一人ひとりとどう向き合い、どうすればチーム全体で力を発揮できるか。これは、僕にとってずっと自問自答し続けているテーマです。
この記事では、僕がLANYでマネージャーとして過ごしてきた日々の中で、実際に経験してきたこと、悩んだこと、そして大切にしている考え方を、内省的にお話しできればと思います。
【五十嵐のプロフィール】
- 大学を卒業後、体育会系に特化した新卒採用支援の企業でCAを担当
- 最初の会社を退職してメディア運営事業会社に入社
- 転職した企業でデータアナリスト兼SEO担当者として活躍
- LANYに入社、現在は主にSEOコンサルタントの業務を担当
「自分でいいのか」という葛藤から、マネージャーとしての一歩が始まった
僕がマネージャーという役割を任されたのは、LANYがミドルマネジメント制を導入し、組織としてもう一段階成長を目指していた時期でした。たしか、1年ほど前のこと。それまではCOOがメンバー全員のマネジメントをしていましたが、僕らのようなマネージャーがチームを持つ体制へと変わったんです。
正直なところ、最初にその話を聞いたときは不安しかありませんでした。「本当に自分にできるんだろうか」って。SEOコンサルタントだけではなく、僕自身が専門的な経験を持たないBtoBマーケティングやエンジニアリング、デザインといった領域のメンバーもいたからです。その人たちの具体的な業務に対して、僕がどこまで適切なサポートができるのか、パフォーマンスを最大限に引き出すためのリードが難しいんじゃないか。そんな葛藤がありました。
だからこそ、自分なりに勉強をしました。マネジメントに関する本を読んだり、他社の事例を調べたり。不安があったからこそ、体系的に学ぼうという意識が働いたんだと思います。
でも何より難しかったのは、やはり「人」との関わりでした。感情も、体調も、日々の状況も変化する「人」と向き合うことの難しさ。昨日までスムーズだったコミュニケーションが、今日はなぜか噛み合わない、なんてことも起こりうる。1か月前の状況と今ではまったく違う。しかも、僕はどちらかというと物事を型化して進めたいタイプなので、「変化」への対応は、今でも常に難しいと感じています。
引き上げるのではなく、伴走する
手探りのマネジメントの中で大きな転機となったのは、ほぼ未経験で入社した2人のメンバーがコンサルタントとして立ち上がってくれたことです。
当時僕が意識していたのは「上に引き上げる」のではなく、「彼・彼女たちが見ている世界を、僕も積極的に見に行く」という姿勢でした。今何につまずいていて、何がわからないのか。わからないことがわからない、そんな状態だってある。まずは、その前提に立つことが大事だと思ったんです。
その上で、できる限りタスクを具体化し、細かく確認しながらフィードバックを重ねていく。その繰り返しで、「前に進んでいる!」「できた!」という小さな成功体験を積んでもらうことを目指しました。
象徴的だったのが、あるクライアントのサイト診断プロジェクトです。実質的に、彼らがはじめて主導で分析・提案・推進を行い、僕は全体設計と壁打ち役に徹しました。彼らが自分たちの力で考え、手を動かし、アウトプットをつくり上げる。そのプロセスを、僕は伴走者として見守っていたような感じです。
結果、クライアントから「これまでのSEOの取り組みでもっとも信頼できるアウトプットです」と非常に高い評価をいただくことができました。メンバー自身も「自分たちの力でやり遂げた」と大きな自信を得てくれました。さらに、プロジェクト終了後には、クライアントのエンジニアの方から「提案内容を実装したら、サイトのインデックス数がこんなに増えました!」と直接感謝の連絡があったと聞いたときは、本当にうれしかったです。
このとき強く感じたのが、「挑戦できる環境を整えること」の大切さです。「もし何かあっても、最後はマネージャーがなんとかするから大丈夫」。そんな心理的安全性を感じてもらえるように、僕も常に心を配っていました。それが彼らに伝わっていれば、人は能動的に動き、持てる力を最大限に発揮できるのだと思います。
その一言が、自分をマネージャーにした
「メンバーがオンボーディングしなければ、すべてマネージャーの責任」⸺これは、以前マネージャーが集まる定例会議で、新しいメンバーの育成が思うように進まないという話題が出た際に、僕が発した言葉が元になっています。
当時、少しだけ「なかなかメンバーが育ってくれない」といった他責な雰囲気が漂いかけた瞬間があったんです。僕自身も、内心そう感じてしまうこともありました。でもそのときに、ふと「育ってくれない」ではなく、「育てられていない」と考えるほうがずっと建設的だと思ったんです。相手のモチベーションに期待するよりも、マネージャー側でコントロールできることは何なのかを見つけ出し、実行していく方がいい。
どんなに優秀な人でも、受け入れ環境が整っていなければ本来の力を発揮できません。サッカーにたとえるなら、すばらしい選手でも、ピッチの状態が悪かったり、チーム戦術が曖昧、ミスをしたら怒られるだけという環境だったりすれば、最高のパフォーマンスは出せないですよね。
だからこそ、環境を整え、安心して挑戦できる土台をつくるのがマネージャーの責任。そして、メンバーがその環境でしっかりと力を発揮できるようになるまでサポートし続ける。それが僕の考えるマネジメントです。この考え方は、ある著名な経営コンサルタントの方が書かれたマネジメントの本からも大きな影響を受けました。
本当の仲間がまた一人、LANYに増えたうれしさ
ミドルマネージャーは、経営層の考えをメンバーに翻訳し、メンバーの状況を経営層に伝える、いわば「ハブ」のような役割。そんな役割を担う中でつくづく思うのは、同じ視座で組織のことを考えられる仲間がいるかどうかで、気持ちのあり方が本当に変わるということです。
以前は、「この課題、どうしようかな」とひとりで考え込むこともありました。でも今はLANYの中に、同じような立場で悩んだり考えたりしている仲間が増え、一緒に組織のことを考えられるようになって、「ああ、一人じゃないんだ」と思えるようになりました。
お互いの状況を理解し合い、ときにはディスカッションしながら、より良い方法を一緒に模索できる。そんな仲間がいることが、どれほど心強く、そしてうれしいことか。
僕は今、こんな風に考えるようになりました。
「メンバーが成長し、立ち上がれたのなら、それは本人の頑張りと才能のおかげ。けれど、もし立ち上がれなかったとしたら、それはマネージャーである自分の力不足」
だからこそ、どんなときもメンバーの可能性を信じ、その力を引き出すために全力を尽くす。それが、LANYのマネージャーとしての僕の覚悟です。
信頼関係で結ばれた「プロフェッショナル集団」でありたい
LANYはどんな雰囲気かと聞かれたら、僕は「部活みたい」と答えるかもしれません。単なる仲良しグループではなく、本気で同じ目標に向かって走り、お互いを高め合う関係。仲間としての信頼があって、でも確かな緊張感もある。そんな「プロフェッショナルな集団」でありたいと思っています。
だからこそ、「人として向き合う姿勢」を大切にしています。仕事だからと割り切るのではなく、ひとりの人間として向き合う。ときには厳しいことも伝えるけれど、そこには信頼がある。僕は、そういう関係を目指したいです。
そして、会社全体で「LANYの良さ」⸺つまり、僕たちのカルチャーやバリューをしっかりと浸透させていくことも、これからますます重要になると感じています。たとえば、LANYのバリューが日常会話に自然と出てきたり、「CULTURE BOOK」に書かれている行動指針をメンバーが当たり前のように実践できていたり。そんな状態が、僕の理想です。
なぜなら、共通の価値観や行動の軸が浸透してこそ、メンバー全員が同じ方向を向き、「これは自分たちのミッション達成のために必要なことだ」と信じて、難しい課題や状況にも立ち向かえるようになると考えているからです。その力が、難しい課題や状況にも立ち向かう原動力になる。それは、結果としてクライアントへの真摯な向き合い方や、質の高いアウトプットにもつながっていきます。
実際、僕がマネジメントを担当する大規模サイトのコンサルティングをするチームのメンバーを見ていても、本当に真面目で、誰一人として手を抜かない。そうした姿勢を見ていると、「ああ、LANYのカルチャーがちゃんと根付いているな」と実感するんです。
50人になっても100人になっても、“つながり”を見失わないように
これからLANYは、さらに大きな組織へと成長していきます。その中で、僕自身はどんな価値を発揮できるのか。そう考えたとき、僕はやっぱり「守る人間」なんだと思いました。派手なゴールを決めるフォワードというよりは、後から全体を見渡してバランスを整えたり、失点を防ぐセンターバックやボランチのような役割。たとえば、社内の仕組みを構築して業務効率を上げたり、メンバー全員のパフォーマンスを1.5倍にするようなレバレッジの効く取り組みを進めたりすることです。
でも、どれだけ組織が大きくなっても、絶対に失いたくないのは「人と真剣に向き合う」というLANYのカルチャーです。共通言語を持ち続け、価値観を共有できるつながり。メンバーが安心して「わからない」と言えて、間違いを恐れずに挑戦できる環境。そういった、組織が空中分解してしまわないための「つながりづくり」は、僕がこれからも特に力を入れていきたい部分です。50人になっても、100人になっても、この「つながり」が崩れないように、僕はずっと守り続けたい。
LANYは、本気でミッションに向き合い、仲間とまっすぐに関わり合える場所です。僕はマネージャーとしてはまだまだ道半ばだけど、このLANYという場所で、最高の仲間たちと一緒に「人」と「組織」に冷静な情熱を注ぎ、向き合い続けていきたい。それが、僕の今のまっすぐな気持ちです。